住宅地に立つ藻岩山しか見たくない家
Iさん宅・夫婦、子ども2人
長く東京で暮らしていたIさんご一家。奥さんの転勤をきっかけにご夫妻の故郷である札幌に拠点を移すことになりました。
Iさんは道外のレストランでシェフとして働いていましたが、ゆくゆくは戻ってくることを見据えて新築を決意。奥さんの通勤圏内に、T字路に面した見通しの良い土地を見つけて購入しました。
Iさんご夫妻が希望したのは「必要最低限プラスα」の家。
様々な会社から提案されたプランの中で、「玄関扉を開け、土間の先に見える薪ストーブのあるラウンジルーム。図面を眺めて想像すると、そこに豊かさが詰まっていると感じました」と、Iさんご夫妻の心がもっとも弾んだのがミライエホームのものでした。「実は兄もミライエホームで新築をしていましたが、他社もしっかり見た上で結論を出したかったんです」という奥さんは、横川社長のプラスαの解釈に、理想の家づくりができると確信。ミライエホームに新築の依頼をすることになりました。
山を望む土地のポテンシャルを生かし、LDKやテラス、家事室など暮らしの中心は見晴らしの良い2階に集約。シェフであるIさんにとって特別な場所であるキッチンは、ダイニングとの距離感や、目線の高さを考えて繊細に調整し、床レベルを7㎝下げています。住宅地の喧騒を忘れて山を望む2階のLDKや、薪ストーブの炎を眺めて心穏やかに過ごす1階。Iさんご一家の新たな住まいは、そこかしこに自然と家族が集う豊かな空間が配されています。
















FROM DESIGNER設計者より
敷地は藻岩山の裾野、山鼻地区の南端で、まだ街なかのちょっと混み合った雰囲気の残る住宅地。道路の両側に電柱が立ち並び電線も張り巡らされ、3階建住宅も多く、雑然とした場所でした。
敷地面積は43坪で狭小地とまではいきませんが、窓の先にはお隣の窓ががっちんこするような、そこそこの狭さ。唯一の救いは、T字路の突き当たりに位置しているおかげでTの縦棒方向の西道路に視界が抜けて、藻岩山の横っ腹が見えることでした。
こういう敷地では2階がLDKになるのはほぼ必然で、ご主人がシェフということもあって「屋外テラスで食事」という場面も必然。LDKに面した2階のテラスに屋根を付けて藻岩山に向けた望遠鏡の様にデザインするイメージが、最初から浮かんでいました。
初回プラン提案の時、表紙にタイトルを付けるのですが、この家のタイトルは「藻岩山しか見たくない」です。打ち合わせでは、薪ストーブの場所や、水まわりと子ども部屋が2階だったり1階だったり、プランは相当変化しましたが、望遠鏡のようなテラスとLDK部分は揺らぐことなく進みました。
光と景色を西側の大開口に集約して、視線をテラスの壁沿いに向こうへと巡らせて藻岩山に焦点を当てることで、手前の雑多な情報はほとんど気にならないはずと思っていましたが、想像以上にうまく「山しか見せない」空間となり、おいしい生活が実現できたのではないかと思います。
