COLUMNコラム

ひとときを奏でる1杯

株式会社徳光珈琲 代表取締役 徳光康宏さま

珈琲の世界にはseed to cupという言葉があります。タネ(豆)から飲むまでという意味なのですが、珈琲豆は農産物ですから畑の育成環境が何より重要です。適しているのは、寒暖差のある朝日が当たる場所。ただ場所や環境がよくても、作り手の意識や姿勢が大切なのはいうまでもありません。

豆の苗木が植えてある敷地内に、バナナの木を植えている作り手がいました。収穫しながらバナナを食べるために植えていたんですね。ただ笑い話にならないのは、肝心な栄養が珈琲豆にいかないで、バナナのほうにいってしまうからです。 このように、畑を管理・運営していく風土や文化が違う作り手側と、日々どのように考え、どのように作っていくかをコミュニケーションしなくてはなりません。 豆という繊細な農産物を人の手で生育させ、最終的なお客様へ提供するための品質を守るわけですから、豆自体がデリケートであるように、扱う僕らにも慎重さは求められるはずです。

そうして収穫された豆は、出荷する港へ輸送し、そして船便で輸入されるわけですが、いくら良質な豆を生産しても、その後の管理が不十分では全て台無しになってしまいます。港は基本的に気温が高い地域にあるため、鮮度管理をしっかりしなければ、含有される水分量によって豆の劣化スピードが異なり、ローストした際の味に影響が出てしまうのです。豆の大敵は高温多湿、酸素・光。ですので、ご家庭で保存する際、冷凍庫がいいのはそのためです。

淹れ方のポイントを少しだけお話しすると、 粉の真ん中(層の厚いところ)に細めのお湯を近づけてやさしく注ぎます。手首を使わず、お湯が暴れないように。定量になったらフィルターをはずすこと。長く落としすぎると余計な雑味が出ちゃいますので。詳しくは僕の珈琲教室へ(笑)。

徳光珈琲のお店では、どんな豆でも一杯550円で提供していますので、いろんな味を楽しんで欲しいと思います。


徳光珈琲
https://tokumitsu-coffee.com

現在、石狩本店のほか札幌市内に3店舗を運営。また道内外のレストラン、旅館、ショップなどでも豆を販売している。ちなみにミライエで打ち合わせするお客様へお出しする珈琲は、ミライエ限定のオリジナルブレンド。